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道な話題 上武道路の役割について

 

主に東京から群馬までの国道17号の役割について語るページです。

国道17号とは?

東京日本橋を基点とし、さいたま市、熊谷市、高崎市、前橋市、長岡市、そして新潟市へと至る一級国道です。総延長は351キロです。関東平野では一部で爆走国道、少し進んだ三国峠付近では山岳国道でもあります。鉄道では高崎線、上越線、信越線に沿って走っています。

ここで話題にする区間は?

東京日本橋から、群馬県の高崎、前橋までのおよそ110キロに及ぶ区間です。


ルートを探る

この区間では大宮-鴻巣間を除く全ての区間にバイパスが整備されています(図1)。しかし、バイパスの整備のされ方は場所によって少し違うようです。

 

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新大宮バイパスや熊谷バイパス、深谷バイパスは現道からおよそ2キロ程離れて並走しています。これでしたら沿道の比較的近距離の都市間移動はバイパスの利用が有効的です。

例えば、本庄から熊谷へ行く時は深谷バイパス、熊谷バイパスを利用した方が早いでしょう。同じように上尾から浦和まで行きたければ、混雑の想定され る現道を利用するよりは広くて早く着くことのできる新大宮バイパス経由の方が有効的でしょう。これらは、バイパスが本来もつ市街地の迂回、時間短縮の機能 を果たしています。

一方、深谷市から前橋市まで延びる上武道路は違います。上武道路はバイパスと名前がついてはいないものの混雑する現道の高規格道路のバイパスとして昭和45年から作られました。上部道路は現道から大きくはなれ、現道沿道の都市間移動には使えません(図2)。

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例えば、本庄市から高崎市に行くときのことを考えてみます。

本庄高崎間の国道17号線には、バイパスの役割を果たす上武道路が現道に並走しています。しかし、現道と上武道路は両都市からあまりに距離があり、 本庄から高崎に行く時は現道を利用するしかありません。しかも、本庄市街地区間の現道は2車線道路で常に渋滞気味です。土日や平日夕方は車が多く、通り抜 けるのに時間がかかってしまいます。熊谷高崎間でも同じことが言えます。

ここでよく考えてください。上武道路はバイパスであるにも関わらず、バイパスの役割を果たしていない、ということに気づきます。

では、上武道路の真の役割はなんなのでしょうか。

上武道路の真の役割は?

熊谷から北に向う場合を考えてみます。

現道を選択するときの目的地は、本庄市、高崎市、その先の長野方面の地域です。高崎市からは西へ分岐して長野方面に向う国道18号があります。

一方、上武道路を選択するときの目的地は、伊勢崎市、前橋市、その先の新潟方面の地域です。、新潟方面へ延びる国道17号へ戻るときにも選択します。また、上武道路以東の東毛地区へ向うときも選択します(図3)。

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図3では、現道沿道をオレンジ、上武道路沿道を青で区別してあります。

こうしてみると一つのことが分かります。上武道路は現道と全く別のルートをおり、経由地も異なります。つまり、現道と上武道路は別の道と考えることができるのです。

現道ルートは、その先にある”国道18号の延長”と考えることができます。関東では、交通を考える場合、対東京を念頭においています。東京から高 崎、長野へ向う車は現道ルートを利用します。延長線上には国道18号があります。一方で、東京から前橋、東毛地区、新潟へ向う車は上武道路ルート利用しま す。このように目的地別に、利用のすみわけができています。

したがって、上武道路の真の役割とは、両方向の交通が集中していた一本のルートを、目的地別に二ルートに分け、交通を分散させる、ということなのです。

ですので、熊谷から高崎へいく場合、上武道路をバイパスとして考えるのではなく、最短距離となる現道ルートのみで考えなければいけません。今の状態 は、バイパスが整備されていな状態、なのです。さすがに、上武道路計画当時よりも交通量が増え、現道ルートも交通量の増加に追いつかなくなってきたため、 新たな現道ルートのバイパスが必要になってきました。

そこで現在は、国土交通省大宮国道事務所で本庄市街地を迂回する本庄道路の建設に向け調査中です。(参考リンク:国土交通省大宮国道事務所-本庄道路-

大きな視野でみると

上武道路の真の役割が分かったところで、少し大きな視野で上武道路の位置を考えてみます。

関東地方の高速道路ネットワークと一緒に地図上に表してみます(図4)。

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図のオレンジで示された道は、国道17号のバイパス部分をつなげたものと、国道4号の新4号です。これらは高規格道路としてほとんどの部分が設計速度80キロで造られており、実際には70キロ以上で流れています。いわば、無料の”準高速道路”みたいなものです。

高速道路の位置関係と比べてみると、面白いことが分かります。

国道17号線のバイパス部分は関越自動車と東北自動車道のちょうど真ん中を補うように走っています。上部道路はこの一端を担っており、今のルートが決定されたのはそういった理由があるのかもしれません。

同じく新4号も東北自動車道と常磐自動車道の間を走っており、対東京交通として両高速道路を補っています。

現在、新大宮バイパスと熊谷バイパスをつなぐ高規格道路の上尾道路が建設中です(図中、点線の区間)。これができると、東京までの時間が短縮され、国道17号がより使いやすい道になります。

早期完成を期待するばかりです。

 

※この記事は筆者が過去に運営していましたwebサイト「taboto note」より記事を移植しました。