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いまちず!

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富谷町が新交通導入検証開始!

 

こんにちは!

富谷町が新交通システム及び地下鉄延伸の検討を本格的に始めるようです。富谷町は仙台市の北に隣接しており、生活圏は仙台市と完全に一体化しているといっても過言ではありません。

人口が5万人を超え、そのおよそ9割が新興住宅地の富谷町。今年の10月には日本最大人口の“町”から“市”に移行予定であり、この新交通の検討の本気度が注目ですね。

記事の内容を見てみる

富谷町・新交通システム 検討本格化

富谷町と仙台市を結ぶ幹線道路は朝夕の渋滞が慢性化している=泉区
 

 宮城県富谷町は本年度、仙台市地下鉄南北線泉中央駅からのアクセス改善に向け、新たな公共交通システム導入の検討を本格 化させる。調査・分析を委託した専門コンサルタントが、泉中央駅-大沢-大清水-大和町吉岡の各地区を(1)地下鉄延伸(2)次世代型路面電車(LRT) 導入(3)路線バス強化-のいずれかで結ぶ3案を提示。町は3案を土台にさらに検証を深め、仙台市などと慎重に協議を進める。

 コンサルは町に示した報告書で、町を含む黒川郡の発展で国道4号など幹線道路の渋滞がさらに悪化すると予測。路線バスの遅れや、仙台北部中核工業団地と仙台市内を結ぶ交通手段の乏しさを問題点に挙げ、南北の交通網強化の必要性を指摘した。
 地下鉄、LRTについては、駅候補地に交通結節点の大沢(仙台市泉区)と大清水(富谷町)を想定。その上で、3案の長所と短所を比較している。
 泉中央駅から大清水までの地下鉄延伸案は、乗り換えなしに仙台中心部まで行けるほか、道路の混雑緩和も期待される。しかし、建設・維持費は最も高いと分析した。
 泉中央-大清水-大和町吉岡を結ぶLRT案は、地下鉄延伸より経費を抑えることができ、黒川郡内の移動利便性が向上するメリットもある。一方、仙台方面へは乗り換えが必要で、道路を占有することから渋滞を引き起こす可能性も示唆した。
 新駅を設けず既存の路線バスを強化する案は、インフラ整備が不要なため最も安価な半面、道路混雑を引き起こす可能性が大きく、まちの魅力向上への影響も小さいとした。
  このうちLRTは、若生裕俊町長が昨年2月の町長選で公約に掲げた。報告書は泉中央駅-大清水間の約6キロについて、泉区将監を通って北上する路線と、県 道仙台泉線と国道4号に沿って進む路線の2路線を候補に挙げた。マイカー利用者の3割が乗り換えた場合では、平日で1日約2万1000人の需要を見込む。
 若生町長は「3案を基にさらに検証を進める」と話す一方、「あくまでコンサルの提案で、決定事項ではない。仙台市など相手もある話。路線などが一人歩きすると困る」と性急な議論にくぎを刺す。
 町は2016年度一般会計当初予算に調査費200万円を盛り込んだ。今後は具体的な導入費用なども比較していく考え。

引用元:富谷町・新交通システム 検討本格化 | 河北新報オンラインニュース

現状はコンサル業者に提案させている初期検討段階といったところ。話が具体化するのはまだまだかかりそうです。

そもそもこういった公共交通導入は完成までは何十年単位になることが一般的なので、しばらくは様子見でしょうか。あとは、富谷町の本気度がどの程度なのかです。

富谷町の公共交通導入検討の経緯

公共交通導入検討の動きは、仙台市に隣接する富谷町では潜在的な需要があったものと考えらえます。

そんな中、2015年2月に町長選で“(LRTによる)仙台市営地下鉄南北線の富谷延長を公約にした町長が当選したのです。

ただ、その段階では公約にしていながら、採算性や本当の必要性は具体的検討はされていおらず、公共交通導入ということ自体が先行して公約になっていました。

そのことを証明するように、2015年3月に仙台市議会の議事録で仙台市長の回答が以下のようになっています。

(18)新しい富谷町長が富谷町から泉中央までLRT(路面電車)を通すことを公約にしていたが、その後何か仙台市に働きかけはあったか。また現実的に可能だと思うか

 富谷町から具体的なお話は特にいただいていません。地下鉄の延伸は事業規模が巨額にのぼり、特に採算性を考えると非常に難しいというのは議会でも お話ししたとおりです。私自身も、LRTについて初期費用がどのようにかかり、どのような採算の構造になっていて、どのように補助金が入り、どこを収支と して考えなければいけないのか、事業としての勉強をまだまったくしていません。

 私としては、まずは富谷町が発議されたことですので、富谷町の方でいわゆる財務構造の中でどう成立するとお考えになるのかを、まずご提示いただきたいと思います。それを伺った上でないと、われわれ自ら発議したものではないので、いささかお答えに窮するところです。

 引用元:発表項目以外の質疑応答の概要 | 仙台市

ということで、仙台市側との調整が全くなく公約にされていたことが分かります。

2015年4月の富谷町の広報誌での施政方針の記事では

住みたくなるまち日本一の実現に向けて、そして市制施行を踏まえた都市的機能の強化に向けて、LRTなどの新しい公共交通の整備に向けた調査研究を積極的に進めてまいります。
広域的に設置されている「緑の未来産業都市くろかわ建設協議会」で、過去に行われてきたLRT整備基本方針などを改めて検証し直し、現在の富谷町の現状に合った分析・研究を進めてまいりたいと考えています

引用元:http://www.town.tomiya.miyagi.jp/attach/DL/548/attach/DL_550_20150430083455-1.pdf

と記載されており、LRTありきから現実路線へ検証し直すとあります。

 

それから1年。ようやく動き出したというところでしょうか。

懸念をいくつか

公共交通を導入するのは大いに結構だと思うのですが、いくつか懸念があります。

まずは、街のつくりが軌道系公共交通にあっていないということです。

利用者のターゲットとして想定しているのは、仙台市都心部や泉中央を生活圏とする新興住宅地の住人です。しかしこれら新興住宅地は一戸建てがメインのエリアであり、人口は多いものの密度が低い状態です。細かく細分化された新興住宅地は一度できてしまうと街を再開発するのは相当困難です。新たに軌道系の駅ができたとしても既成住宅地が変化していくにはかなり時間がかかりますし、行政としても用途地域の変更等、大変手間のかかる手続きをしなければなりません。

二つ目に、車依存を前提とした多くの住人が軌道系にライフスタイルを変えられるか、です。

仙台都心部や泉中央を生活圏にしているといいながら、実際には休日に仙台都心の三越や、泉中央のセルバ等に買い物に行くだけの需要しかないのであれば、軌道系公共交通導入は現実的に難しいです。実際に欲しい需要は通勤通学です。仙台市の地下鉄東西線ですら、あえて高校や大学などの学校の近くにルートを設定するなどして通学需要を取りにいっています。

仙台都心部や泉中央に通勤通学している需要がどれだけあるのかをまずは検証する必要があります。

車生活を前提とした新興住宅地ですから、住んでいる方がライフスタイルをどこまで変えられるかも未知数です。

三つ目に、軌道系公共交通を通すことはそれ自体が目的になってはいけない、ことです。

わかりやすい例できますと地下鉄東西線の例です。東西線という事業は、仙台市のコンパクトシティを実現するための一環として東西線を開業させました。開業と同時に、駅周辺の大規模区画整理の実施(荒井、六丁の目)、東北大学キャンパス再整備など、コンパクトシティという目標を実現させるべく、実に多くの事業が同時に動いています。

人口5万人を超え市制移行はするものの、はたして富谷町にその財政的体力があるかが心配です。LRTでも地下鉄延伸でもよいのですが、、決してそれ自体が目的になってはいけません。

 

いろいろ書きましたが、今後の動向が気になるところです。