いまちず!

今、地図を広げよう! 地図好きによる、仙台のこと、街のこと、旅のこと、乗り物のこと。

imachizu!

最近、仙台都心部になぜ100m超の高層ビルが建たないのか

 

こんにちは! 

直近で100m超の超高層建築の計画がない仙台都心部

最近、仙台都心部において100mを超えるような超高層建築物が建築されませんし建築計画もありません。タワーと名乗っているタワーマンションですら高さ80m~90m程度です。オフィスビルに至っては、高層ビルの建築予定すらありません。

さて、これはなんでだろう、ということで想定される理由を調べましたので、少し長くなりますが解説します。

f:id:d-naka07:20190901023736j:plain

仙台都心部のスカイライン

理由を解説する前に

理由を説明する前に、それって単に需要が少ないだけじゃないの??と思う方も多いと思うのですが、仙台都心部においては、オフィス需要やマンション需要、ホテル需要などが著しく低いというわけではありません。

各指標数字

それぞれ5年前と比較してみます。

オフィス需要は、増加中

オフィス空室率・・・11.06%(2014年7月)→4.24%(2019年7月)

※オフィス空室率は数字が低いほど、空きオフィスが無い=オフィス需要があると判断されます。数字はオフィス仲介大手の三鬼商事が公開しています。

www.e-miki.com

5年前の2014年は10%を超える空室率でした。それがこの5年間で5%を切る空室率まで下がっているのは大きく健闘しているといえます。

 

マンション需要は、安定期

マンション仙台市年間供給戸数・・668戸(2013年度)→1303戸(2018年度)

マンション需要は年間供給棟数から見ます。企業がマンション需要があると判断して供給しているので、数字が大きければ大きいほど需要が高いとされます。

https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/kentaku/tyakkoushinsetukosuu.html

数字だけで見れば倍増していますが、2013年は震災の影響が強かった時期です。2014年からは1300戸~1500戸程度で前後しており需要が低いわけではありません。また2017年の国勢調査でも仙台市の人口が5年間の間に5万人も増えたことを考えても、需要があるといえるのではないでしょうか。

 

ホテル需要は、増加中

仙台市観光客入込客数(旧仙台地区)・・・380万人(2014年)→440万人(2018年)

https://www.city.sendai.jp/kankokikaku/toukei/toukei.html

 

宿泊施設に関しては言わずもがなです。数字は秋保温泉や作並温泉を除いた仙台市街地部分の宿泊客数です。インバウンドの影響もあると思われます。

 

ということで、経済が低迷しているということもありません。

前置きが長くなりましたが、以下に二つの理由を記載します

 

理由1:そもそも都心部には厳しい高さ規制がある

仙台都心部は、2004年に国が施行した景観法にもとづき、2009年に仙台市が制定した「杜の都」景観計画によって、都心部は絶対的な高さ規制があります。

本景観計画による景観重点エリアの高さ制限図です

 

f:id:d-naka07:20190901032736p:plain

景観重点区域における高さ制限 仙台市より

 

中心部の赤色部分だけが緩和により制限なしのエリアとなっています。狭い範囲に限られているのがわかります。現在マンションが数多く建設中の勾当台通り周辺でも80mの制限(緩和適用)がかかっています。

 

これは仙台城址(青葉城)からの景観を流れを阻まないことを目的に、設定されています。とはいえ、市の中心部が高層化されるよう、青葉通りを頂点にしており、青葉通りから遠くなるほど高さ制限が低くなっていきます。

結果として、例えば東北大農学部跡地は高さ制限40m、五橋付近では高さ制限80mになっています。

少々厳しすぎるようにも感じます。

都心部のみ100m超の高層ビルは建築可能

現状では、赤い部分のみ緩和適用により100m超の建築物が可能です。それ以外は、緩和を適用しても最高高さが決まっており、それを超えることはできません。

※因みに緩和措置の内容は、こんな感じです(都心部のD地区の場合)

f:id:d-naka07:20190901033953p:plain

高さ制限緩和条件

100m超の高層ビルは建築可能!
 

結果として、法令上は100m超の高層ビルは建築可能でした。でも、現実的には、現状計画が存在しないのです。決して大きい土地が無いとかそういう理由ではありません。条件となっている1000平米は、現在廃墟となってるさくらの百貨店跡地の1/3程度の敷地面積です。公開空地や緑地の設置などは昨今の建築計画では一般的であり、オフィスビルでもマンションでもホテルでもそれを取り込んだ建築計画で十分ペイできる設計図は書くことが可能です。

 

でも、やらない。なぜか。

そこで、次の“理由2”が原因として浮上してきます

 

理由2:環境影響評価制度の影響

全国の大都市には環境影響評価制度という制度があり、建築物や構造物を立てることで自然や環境、騒音や電波など様々な分野で影響が出ないかどうかを調査しなければいけない制度があります。一般的には環境アセスなどと言ったりもします。

 

仙台市の環境影響評価制度を見てみます。

 

f:id:d-naka07:20190901034604p:plain

仙台市環境影響評価(環境アセスメント)の対象事業


すべての建築物や構造物が該当するわけではなく、発電所やダムなどおおむね巨大な構造物や建築物が対象となっています。

ここに、ありました。「高さ100m以上の建築物」が対象に入っています。

 

この環境影響制度は市役所への提出書類の作成、市による縦覧期間、審査期間、そして審査を経た修正などが必要となります。

 

この期間は書類の作成から含めればかなりの期間を要するといわれています。ここが一番くせものなんですね。

 

民間企業は環境アセス対象に入るのを嫌がる可能性

市が再開発組合を主導して行うものを除けば、オフィスやマンションは民間企業が主導で開発します。ここからは想定ですが、民間企業は、土地を購入してから収益開始や販売終了までの事業期間を短くすることが経営リスクを低くすると考えられます。環境アセスメントをする事で市からああだこうだと言われるより、1㎝でも条件以下にして、自社の好きなように短期で建築して早期収益開始したいと考える可能性の方が高いです。

 

特に仙台程度の都市では、資金力のある三井不動産や三菱地所など大手不動産会社が余裕をもって事業をすることは期待できないですし、大手不動産会社は今、東京大阪の二大都市圏の需要で手一杯です。

 

以上が想定される理由です

以上が、仙台都心部に100m超の建築物がたたないかの理由です。規制緩和するならこの辺りではないかと思います。

 関係記事