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新幹線札幌駅、ホーム位置問題 続報(2016年6月)

 

こんにちは!

札幌駅の北海道新幹線ホーム問題についてです。

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(写真出典:札幌駅 - Wikipedia

記事を見るとわかりますが、機構側の本命は当初予定の1,2番線に新幹線ホームを持ってくる案です。

新幹線札幌駅ホーム「現駅案は設備増強必要」 機構が提案

 2030年度に延伸する北海道新幹線の札幌駅のホームについて、建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構がJR北 海道に、現1、2番線を新幹線用にする「現駅案」を基本にしつつ、札幌駅から離れた場所に列車が折り返す引き込み線を設けるなど設備を増強して在来線への 影響を減らす案を示していたことが分かった。機構も、現在の設備のままでの「現駅案」では、在来線の減便が避けられないことを認めた。JRの島田修社長が 15日の定例記者会見で明らかにした。

 JRは、現1、2番線を新幹線で利用し、3~11番線を在来線にする「現駅案」は、在来線のホームが減るため普通列車など93本の削減が必要とな り、実現は「不可能」と説明している。これに札幌市と道、機構は、ダイヤ編成などを工夫することで対応できるはずだと主張していた。

 JRは、機構が示した案の実現可能性の検証を始めた。島田氏は会見でこの案の詳細は説明しなかったが、在来線を運行しながら引き込み線などを新設することは「かなり難しい」と述べ、工期が長引き巨額の費用が必要になる可能性があるとの認識を示した。

 併せてJRが本命視する「東側案」について、ホームの東端は「東1丁目よりできるだけ札幌駅に近づける」との考えも強調した。

 出典:新幹線札幌駅ホーム「現駅案は設備増強必要」 機構が提案 | どうしんウェブ/電子版(経済)

 

記事では、現駅案を実現させるために機構側がJRに、在来線への影響を減らすための設備の増強を提案しています。

ただし、JR側の回答が「かなり難しい」となっており、JR側が「やりたくない」という意思を示しているように感じます。

その理由は大きく二つあるように感じます。

1、費用の問題

JR北海道の収支状態は、実はそれほどよくありません。

本業の鉄道事業は、人口が希薄なエリアが大部分を占める北海道では、本州と違い安定収入源となる通勤通学需要が札幌都市圏を除けばありません。また、その割に広大なエリアで鉄道事業を展開しているため、保守費用や点検費用の負担が大きくまたほぼ全エリアで冬季の除雪費用が必要になります。

こうした状況でありながら、高速道路の整備による高速バスの競合、飛行機の競合が激しく、本業の鉄道事業の経営基盤は大変厳しいのです。

函館まで延伸された北海道新幹線も、札幌まで開業しなければ乗車率は低いままで、むしろ今は費用的には厳しさが増しています。

そんな中、札幌駅の新幹線ホーム工事のために予定している費用以上はかけたくないというのが本音ではないでしょうか。しかも、稼ぎ頭の札幌駅発着の在来線に工事で長期間にわたって影響が出るのであれば、なおさらです。

2、工期、技術的な問題

JR北海道は、政府・与党整備新幹線検討委員会が示した2030年度中の完成・開業を何としても実現しなければならないという考えです。

そのためには、札幌駅利用者の利便性よりも工期を優先順位が高い状態にあることが想像できます。

実はこの2030年度完成開業という目標は、元々は2035年度中でした。昨年に完成開業目標が5年早まったのです。この5年という期間は建設工事の工期日程のなかでは大きく影響するでしょう。JR北海道としては、難易度の高い工事や、新技術でも工事は極力避けたいというのが本音なのではないでしょうか。

 

これら2つが、利便性よりも“とにかく”完成させることを優先させたいJR北海道の本音なのです。

公共性の高い交通施設は“利便性”を考慮すべき

新幹線駅は一度できてからの移設工事や利便性を考えてのホーム位置工事などは、聞いたことがありません。一度できてしまえばそれで固定されてしまいます。

公共性の高い交通施設は、利便性の優先順位が昔に比べ高くなってきています。海外ではこうした交通施設で利用者の利便性が優先されるのは当たり前なのですが、国内でもセントレアや羽田空港国際線、富山駅の路面電車電停位置改良、広島駅の路面電車乗換位置改良、渋谷駅埼京線のホーム位置改良など、利便性を考えた施設・計画が増えてきました。

札幌駅ホーム問題は残念ながら時代の流れに逆行しているように感じます。

 

まだ、何とかできる時期です。機構や市にも頑張ってもらい、ベストな解決が出ることを期待して待つばかりです。

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