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東北大雨宮の樹木と、広瀬通イチョウ伐採問題

 

こんにちは。

仙台都心部の2か所で既存の緑を残すか残さないかが、話に上がってきています。

仙台は杜の都でもあるため、他都市と比較しても都心部に街路樹をはじめとした緑が多いですし、街路樹も立派です。こうした緑の保存について、河北新報でちょうど同じタイミングで二つの記事が上がっていましたので紹介します。

東北大学雨宮キャンパス、イオン予定地の樹木

<東北大雨宮跡地>可能な限り樹林保存を答申

仙台市中心部で数少ない緑地帯の東北大雨宮キャンパス=6月24日、仙台市青葉区

 仙台市青葉区の東北大雨宮キャンパスの再開発計画で、市環境影響評価審査会(会長・持田灯東北大教授)は28日、計画主 体のイオンモール(千葉市)の環境影響評価方法書に対し、既存樹林を可能な限り保全・活用させるよう求める答申をまとめた。奥山恵美子市長に近く提出す る。
 答申は市に対し、再開発に伴う具体的な緑化計画を次の環境影響評価手続きでイオン側に明らかにさせるよう指摘。大正時代から残る守衛所などの保全を念頭に「歴史的景観」を調査させるほか、周辺の教育施設に配慮して交通量増加による大気環境を検討させるよう求めた。
 樹林保全を巡っては、複数の委員から「キャンパスを売却する東北大にも責任があると明記すべきだ」などの意見が出たが、事務局の市側は「イオン側は東北大と協議しながら進める考えで必要ない」と退けた。

出典:<東北大雨宮跡地>可能な限り樹林保存を答申 | 河北新報オンラインニュース

 

東北大学雨宮キャンパスは、近くイオンに土地を売却する予定になっており、住宅地、商業地等の大規模な開発がおこなわれる計画になっています。

 

雨宮キャンパスは農学部のため、敷地内や敷地を取り囲む箇所には立派な樹木が数多くあります。今回の記事は、それらの樹木の一部を残したい!という意見が環境影響評価委員会の委員から上がっているという記事です。

 

現実的には、南側道路に接する樹木は、イオンにとっては目隠しになってしまうので全て伐採したいでしょうし、敷地内にある樹木も保存するとなれば、大規模商業施設を建てる際に邪魔になってしまうため、土地所有者となるイオンにとってはやっかいな問題となります。

一方、杜の都を謳っている仙台市の環境影響評価委員会としては、何とかしたいという思いがありながらも、民地に対して強く言うことができないというジレンマの中で、答申という形で市長に報告するのでしょう。

 

 

広瀬通の中央分離帯のイチョウ

もうひとつの記事が、新宮城野橋全面開通に合わせて予定されていた広瀬通りの右折車線増設のための中央分離帯街路樹の伐採に関する記事です。

<仙台広瀬通>イチョウ伐採延期で拡幅遅れ

伐採方針が示されたイチョウ並木=2016年3月17日、仙台市青葉区の広瀬通
 

 仙台市が道路拡幅による渋滞緩和を目的に伐採方針を示している広瀬通(青葉区)のイチョウ並木12本を巡り、奥山恵美子市長は27日の定例記者会見で、伐採時期の遅れで拡幅工事に着手できず、来年3月の完成予定がずれ込む見通しを示した。
 奥山市長は「今春に着工し、来春には間に合わせる予定だった。(隣接する)宮城野橋の開通(来年4月)に間に合うかというと現状では難しい」と述べた。
 市は同日の「杜の都の環境をつくる審議会」で伐採方針をあらためて説明。委員からは「交通の支障にならない場所に1本でも残したらどうか」との妥協案が提案された。市は技術的な可能性を検討し、9月1日の次回審議会で報告する。
 市は宮城野橋の開通に合わせ、駅前通-愛宕上杉通間の広瀬通の拡幅を計画。中央分離帯のイチョウ12本を伐採する方針を示した。3月に着手予定だったが、同審議会から意見を聞くべきだとの声を受け、延期していた。

 出典:<仙台広瀬通>イチョウ伐採延期で拡幅遅れ | 河北新報オンラインニュース

 

仙台市としては、新宮城野橋の全面開通で交通容量が増大することを想定しており、そのための工事はしておきたいところ。現状は三車線あるうちの左車線は左折車と路上駐車で直進車には使いづらくなっています。右側車線は右折車線になっているため、現状で直進したい車は中央車線に並ぶしかありません。

 

新宮城野橋は片側3車線で予定されており、手前の広瀬通の交通容量が変わらなければ、交通需要に対応できないことが想定されます。

 

将来確実に起こる交通問題の解決か、緑の保存かという選択になっています。個人的には本当に街づくりにとって必要であれば伐採して、将来の交通需要を吸収するようにした方が仙台都心部全体にとっての利益と思うのですが、そのあたりはうまく折り合いをつけてほしいところです。

 

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